6月のimoutoidくん追想

今週末は「6月のimoutoid」と銘打たれたイベントが開催されます。若くして夭折された音楽家imoutoidくんにちなんだトーク、ライブ、DJ、VJが織りなす一夜だそうです。このイベントのために制作された特別小冊子が発行され、生前の貴重なライブ記録映像も上映されるとか。

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イベント「6月のimoutoid」
日時:2011年6月25日(土)開場19:00 開演19:30
会場:六本木 SuperDeluxe
料金:予約2,500 円 /当日3,000円 (1ドリンク付)

私は出演するわけでもなく、お手伝いをするわけでもないのですが、会場でウロウロしていると思います。なぜって、実は一度だけimoutoidくんに会ったことがあるから。それは2008年7月に開催されたSuperColliderワークショップでのこと。その時の写真には、後ろ姿で小さく彼が写っている。この記事で以下のように書いたのは、まさに彼のこと。

個人的には、フル・シンセシス(サンプリングは使わない)で作られたディストーション・ギターのリズミカルなフレーズ・ジェネレータがお気に入り。年齢的にまだIAMASに入ることができないそうですけど、若輩才人くん、なかなかヤル〜って感じ。

彼のお父様はギタリストで、彼のSCコードから魔法のように紡ぎ出されるギター・リフはお父様お得意のファンク奏法にそっくりだと、最近になって聞いた。同じワークショップで披露していた花火のシミュレーションも、彼が育った地元の花火大会のそれだと言う。これらのコードは「The SuperCollider Book」に収録されている。

同じ日、軽口っぽく「18歳になったらIAMASにおいでよ」と話したことも覚えている。ありきたりの教育制度とはチョットと違うIAMASは、彼が活躍する場になったと思う。ほどなく彼は入試資料を取り寄せたものの、過去問題集を見て諦め顔だったそうだ。ありきたりの一般教養や主要科目の問題ばかりが目立ったに違いない。もう一度会う機会があれば、入試制度もチョット違うんだよと伝えたはずだが、それは叶わなかった。

imoutoidくんは年齢や経歴や体制とは関係のない世界で優れた才覚を発揮していた。それはギターや花火のSCコードが示すように、彼自身の体験に根ざした、地に足がついた創作だったように思える。そんな彼の一端に触れることができるであろうこのイベント、ちょっとメランコリックになりながらも楽しみにしています。

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