電子書籍「リアルタイム映像表現の可能性/2005」リリース

7/10に電子書籍「リアルタイム映像表現の可能性/2005」をwookよりリリースしました。iPhone、iPod touch、iPad、Android、Mac、PCのいずれでもお読みいただくことができます。一部は試し読みもできます。

realtime-wook

内容はこんな感じ。

本書は自作品「Time Machine!」を通して、リアルタイム映像表現の可能性について論考しています。Time Machine!はインタラクティブな映像インスタレーション作品として制作され、鑑賞者のライブ映像を時間的および空間的に処理することによって、目眩くような視覚表現を行います。この自照的な状況によって、鑑賞者にある種の客観的な視覚体験を提示することになります。論考としては、写真の誕生から1960年代以降に現れたリアルタイム映像表現の先駆的作品を取り上げ、その内容や意義を考察します。そして、Time Machine!および関連する自己の作品を取り上げ、リアルタイム映像表現に関連する様々な観点を検証します。

書名が示すように2005年の執筆で、これまで刊行していませんでした。何故って、これ私の博士論文で一般にバカ売れするようなものではないから。極めて優秀な論文ならいざ知らず、出版社に打診することもしていませんでした。でも今は電子出版でサクっと出せちゃいます。出版コストはほぼゼロ。

しかし、コストがゼロとは言え、今になってこの書籍を刊行したのは、まさに数年の歳月が過ぎたからかも。当時は高度な映像処理を苦労して実現したけど、今となっては技術自体にビックリすることはないはず。となると、技術ではない部分での価値が問われる。数年を経て何が残ったのかを確かめることができるわけです。

実際にも本書では技術的な記述は必要最小限に留めています。Max/MSP/Jitterのパッチやエクスターナル・オブジェクトのC/C++コードも登場するけど、それらを解説しているわけじゃない。つまり、技術を使いつつも何を表そうとしたのかが主題。表題も「映像表現」であって「映像処理」ではないからね。

なので「2061:Maxオデッセイ」や「Maxの教科書」のような解説書を期待しないでください。ただ、ほとんどの人はプログラミングを学ぶのが目的ではなくて、プログラミングによって「何か」を作りたいワケでしょ?その「何か」の本なのです。

ちなみに、アート系の人は論文を書くのが苦手だったりしますが(私もそう)、この程度の内容で博士号を取得した例もある(苦笑)というベンチマークに使えますね。修士論文や学士論文にも参考になるかも。もっとも、審査配分は作品50%論文50%だったので、この論文がすべてではありませんよ。実際には作品のほうがウェイトが高い印象でしたし、論文だけでは評価できない世界なのです。

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