日本戦後音楽史

佐近田さんに教えてもらったのですが、5月に「日本戦後音楽史(下)」が刊行されていました。「戦後」と銘打たれるとピンと来ないのですが、サブタイトルが「前衛の終焉から21世紀の響きへ 1973-2000」となっているように、極く最近の動向まで丁寧に検証されています。まとまった書籍としては空前(絶後?)の試みながら、量的にも質的にも充実した内容になっています。これをまとめるのは恐ろしく大変だったに違いありません。

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それで、このサイト的には、第IV部の「Chapter 5 コンピュータと音楽」以降が関連性の高い論考になっています。赤松や佐近田さんの活動や作品も取り上げられているし、他にもよくご存知の作家(つまり、現在の作家)や作品も沢山登場しますね。改めて1990年以降の動きを俯瞰すると、半ばジジイ趣味的な郷愁に誘われたりもしますが(笑)、様々な観点からの考察は刺激的です。特に、本書の最終段落で赤松作品が「紙」に象徴されつつ、未来の課題へと繋がる論考に考えさせられました。

ちなみに、「マジカルMaxツアー」と「トランスMaxエクスプレス」が本文で言及されているのに加えて、2006年刊行の「2061:Maxオデッセイ」についても注釈が入っていることに、少しでも最新情報を伝えようとする執筆陣の良心を感じちゃいますね。

【追記】そうそう、肝心なことを書き忘れていました。本書は音楽全般を扱っているわけではありません。上巻の「はじめに」で明言されていますが、対象は「いわゆる現代音楽」の作曲家です。赤松は「いわゆる現代音楽」の人じゃないけど、だからこそ本書は意義深いような気がします。それは、「音楽芸術」誌ではコンピュータ音楽への言及が少なかった(下巻、P.335)という過去の状況からの脱却として考えられるんじゃないかな。

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