Book」カテゴリーアーカイブ

「iPhoneアプリが奏でる音楽の未来」リンク集

最近発売された雑誌「アルテス VOL.02」に佐藤薫さんとの対談「iPhoneアプリが奏でる音楽の未来」が掲載されています。とてもディープでマニアックな内容ですが、これまで表立って書いたことがない事柄にも触れていますので、ぜひお読みになってください。

ところで、この対談の註釈に入れたURLのいくつがが省略されていますが、逐一URLを掲載しても煩雑なので、この編集方針は妥当かと思います。そこで、WEB検索の手間を省くためにも、以下にリンクされた註釈項目を入れました。誌面を読みながら気になった事柄があれば、クリックしていただければ幸いです。

1 Oscillator | Chaotic Audio Oscillator for iPhone, 2008
2 Palm
3 PDA
4 App Store
5 ギーク
6 Treo
7 Visor
8 ザウルス
9 Snappy
10 ライフログ
11 DSPBox
12 あけおめバルス
13 AR
14 セカイカメラ
15 脱獄
16 GIS
17 API
18 UDID
19 FingerPiano
20 MiniPiano
21 PocketGuitar
22 Ocarina
23 Core Audio
24 Android
25 iOS 5
26 米本電音研究所
27 下村音響
28 Echochops
29 Frippertronics
30 Discreet Music
31 Echoplex
32 Gangsa
33 MINI-COMPOSER | 小さな作曲家の物語
34 Sync for Japan
35 Okeanos Okeanos Buoys
36 iOSの教科書
37 この演奏の…
38 iDonation
39 ハッキング
40 ベンディング
41 OSC
42 Max
43 SuperCollider
44 XYパッド
45 LFO
46 ノード
47 GPS
48 Biophilia
49 プロモーション・アプリ
50 DAW
51 OOPS
52 Xcode
53 ファイヤー・サイド

以上、紙雑誌とWEBのハイブリッドでした。

電子書籍「iOSの教科書」リリース

7/20に電子書籍「iOSの教科書」をwookよりリリースしました。期待の新鋭、神谷典孝さんとの共著で、前著「iPhone SDKの教科書」の精神を最新鋭の環境に蘇らせた!って感じかな。しかも、今回は電子書籍なので、可能な限り軽やかに多方面に展開したいと思っています。

そんなワケで、この電子書籍はiPhone、iPod touch、iPad、Android、Mac、PCのいずれでも閲覧可能です。また、書籍の内容の一部は試し読み可能で、基礎編での操作手順はチュートリアル・ビデオまであります。これらを含めて書籍サポート・サイトiosbook.netには、サンプル・コードやサンプル素材のダウンロードや各種情報が満載。冗談みたいですが、オーディオ・ブックもちょこっとだけ試してみました。

Lionでバリバリとアプリ開発されている方には本書は不要ですが、これからiPhoneやiPadのアプリを開発しようという方や、LionやXocde 4.1にはまだ馴染めないとい方にはバッチリだと思います。試し読みの上、ご購入いただければ幸いです。

iosbook-flyer

電子書籍「リアルタイム映像表現の可能性/2005」リリース

7/10に電子書籍「リアルタイム映像表現の可能性/2005」をwookよりリリースしました。iPhone、iPod touch、iPad、Android、Mac、PCのいずれでもお読みいただくことができます。一部は試し読みもできます。

realtime-wook

内容はこんな感じ。

本書は自作品「Time Machine!」を通して、リアルタイム映像表現の可能性について論考しています。Time Machine!はインタラクティブな映像インスタレーション作品として制作され、鑑賞者のライブ映像を時間的および空間的に処理することによって、目眩くような視覚表現を行います。この自照的な状況によって、鑑賞者にある種の客観的な視覚体験を提示することになります。論考としては、写真の誕生から1960年代以降に現れたリアルタイム映像表現の先駆的作品を取り上げ、その内容や意義を考察します。そして、Time Machine!および関連する自己の作品を取り上げ、リアルタイム映像表現に関連する様々な観点を検証します。

書名が示すように2005年の執筆で、これまで刊行していませんでした。何故って、これ私の博士論文で一般にバカ売れするようなものではないから。極めて優秀な論文ならいざ知らず、出版社に打診することもしていませんでした。でも今は電子出版でサクっと出せちゃいます。出版コストはほぼゼロ。

しかし、コストがゼロとは言え、今になってこの書籍を刊行したのは、まさに数年の歳月が過ぎたからかも。当時は高度な映像処理を苦労して実現したけど、今となっては技術自体にビックリすることはないはず。となると、技術ではない部分での価値が問われる。数年を経て何が残ったのかを確かめることができるわけです。

実際にも本書では技術的な記述は必要最小限に留めています。Max/MSP/Jitterのパッチやエクスターナル・オブジェクトのC/C++コードも登場するけど、それらを解説しているわけじゃない。つまり、技術を使いつつも何を表そうとしたのかが主題。表題も「映像表現」であって「映像処理」ではないからね。

なので「2061:Maxオデッセイ」や「Maxの教科書」のような解説書を期待しないでください。ただ、ほとんどの人はプログラミングを学ぶのが目的ではなくて、プログラミングによって「何か」を作りたいワケでしょ?その「何か」の本なのです。

ちなみに、アート系の人は論文を書くのが苦手だったりしますが(私もそう)、この程度の内容で博士号を取得した例もある(苦笑)というベンチマークに使えますね。修士論文や学士論文にも参考になるかも。もっとも、審査配分は作品50%論文50%だったので、この論文がすべてではありませんよ。実際には作品のほうがウェイトが高い印象でしたし、論文だけでは評価できない世界なのです。

NOOKで個人出版(途上)

NOOKはUS最大の書店チェーンであるBarnes & Nobleが開発&販売中の電子書籍リーダ。なんとなくオシャレな雰囲気ながら、E-InkとLCDの合わせ技やAndroidベースなど一筋縄ではいかない、ちょっと気になる存在。

そのNOOKというかBarnes & Nobleが最近始めたPubIt!なるオンライン・サービスでは、アグリゲータなしに個人出版が可能になりました。これは朗報!なのですが、結論を先に書いておくと「簡単っぽいが日本からは難関もあり」と言うのが現状のようです。

pubit

PubIt!を利用するには、まず同サイトにログイン。これはNOOK購入時のBarnes & Nobleのアカウントがそのまま使えましたが、新しくアカウントを作ってもいいですね。次いでコンタクト情報や出版者情報を登録して、契約条項に合意と続きます。ここまでは快調。

しかし支払情報を登録するところで私は沈没。US納税者ID(SSN/ITIN/EIN)だけでなく、USでの銀行口座やクレジット・カードが必要なのでした。現住所はUS国外でもOKなんだけど、口座等がUSオンリーってのはイマイチですね。某シティバンクにUS口座開設をお願いしてみたけど、いろいろと挙証資料が必要だそうで、簡単には作ってくれません。

もうひとつの問題は、NOOKでの日本語書籍の作成です。NOOKはePubをサポートしている(それがメイン?)けど、iBooks用に制作した「aのかたち」をそのまま転送すると本文が文字化けてしまいます。日本語テキストはEUCでという情報もありますが、今のところ正しい表示に成功していません(【追記】参照)。

nook-epub-japanese

ちなみに、NOOKでは日本語PDFは問題なく表示されます。でもPDFじゃね〜ってことになってます(笑)。またNOOKはデバイスだけでなく、iPhone、iPad、Android、PC用のリーダ・アプリケーションもあります(Mac用はないみたい【追記】参照)。ただ、iPadなどでは自分で作成したePubを転送することはできないのでプレビュー用途には使えません。

と言う訳で、まだまだ課題があるのですが、NOOKでの日本語ePubの表示やPubIt!での日本からの出版に成功した方は、ぜひ情報をくださいませ〜(懇願)。取り敢えず、B&Nには要望を送っておきます。

【追記】Mac用のNOOKアプリケーションはまだないようですが、Barnes & Noble eReaderNOOKstudyというアプリケーションが提供されていました。

【追記】北川さんからコメントをいただき、NOOKで日本語表示ができるようになりました。

nook-japanese

その手順を再掲させていただきます。

1. calibreでePubファイルを開き、その本を選択する。
2. 「本の変換」ボタンをクリックし、「外観」の設定を選ぶ。
3. 「Extra CSS」欄に「Asian Languages」(nookdev.com)のCSSコードをコピー&ペーストする。
4. OKボタンをクリックして、ePub ファイルを変換する。

PagesでePub出力

少し前にAppleのPages(iWorks)がバージョン4.0.4にアップデートされてePub出力をサポートしたので、ちょいと実験してみました。被験者は何年か前、バージョン2.0の頃に作成したA4で149ページの日本語論文、そこそこの分量があります。当然ePubなんて意識していないけど、見出しや本文などのスタイルは指定していました。

実際の手順はとっても簡単で、ファイルメニューの「書き出す…」を選んで、ePubを選択してオプションを指定した上でファイル保存するだけ。

pages_epub_options

ちょいとアラートが出ましたが、取り敢えずは気にしない。

pages_epub_alerts

作成されたePubファイルをiTunesにドラッグ&ドロップしてiPadを同期すれば、ハイ完了。すぐに読み始めることができます。あっけないほどお手軽簡単。

気になる変換結果は、ざっと見てこんな感じ。

    テキスト:問題なし。フォント不足や英字スペースの問題はある。
     見出し:問題なし。目次も自動作成され、リンクも正常に動作。
      脚注:問題なし。リンクも自動作成され、正常に動作。
  ページ区切り:問題なし。フローしても正常にページ送りされる。
  罫線入りの表:問題なし。表内のテキストもテキストのまま保たれる。
ビットマップ画像:通常表示は問題ないが、表示サイズに最適化されている。
  ベクトル画像:通常表示は問題ないが、ビットマップ画像に変換されている。

結果的に画像をダブルタップしても高解像度で表示されない点は問題ですね。また、元ファイルでは目次を自動生成してページとして割り付けていましたが、これは削除したほうが良いみたい。ルビとかは当然ダメでしょうけど、元々使っていないので問題ありません。

と言う訳で、Pagesでどこまで意図を反映したレイアウトが作り込めるかを研究する必要がありそうですが、全体的には満足できる仕上がりだと思います。とにかくこの手軽さは特筆モノで、PagesはWordファイルなども読み込めるから、ガンガンePub化して出版するのが吉。下手にInDesignとで凝ったレイアウトをしていると涙ナミダですから、ご用心。ま、そーゆー場合はオールドウェイブのPDFを使ってください。

参考:iWork:iWork 9.0.4 アップデートについて
参考:PagesでePubファイルを作成する方法

iBookstoreでの出版顛末記

iPadが発売されて以降、電子書籍の話題に事欠かないものの、それはまだ黎明期に過ぎず、混乱と試行錯誤が続いているのはご存じの通り。特に日本の状況は悲惨で、Kindle StoreやiBookstoreが正式オープンしていないことや、その場しのぎ感の強い魑魅魍魎が徘徊していることで、ワケ分かんない状態。しかし、混乱が収まるまで指をくわえて待つほど悠長じゃないので、さっさと見切り発車するのが吉。ってことで、拙著「aのかたち」をiBookstoreから出版しました。その顛末をば少々書いておきますね。

iBookstoreなるプラットフォーム

電子書籍を出版するには何らかのプラットフォームを選択することが必要なので、まずはiBookstoreをチョイス。これは他を圧倒する絶大な成功を収めたiTunes StoreやApp Storeに続く第3弾プラットフォームであると同時に、冷静に判断しても現時点で最も優秀な存在だと思うから。

プラットフォームの条件としては、著者から考えると出版の平等性、収益性、国際性などが重要であり、読者からすれば読書の体験性、機能性、共有性などが求められているハズ。出版プラットフォームであるiBookstoreも、読書プラットフォームであるiBooksアプリケーションも、これらの条件を100%満たすにはほど遠いけど、他のプラットフォームより数歩進んでいるんじゃないかな。

個人的に重要だったのは、いわゆる出版社やアグリゲータを必要とせず、個人出版ができること。優れた専門性は否定しないけど、旧態依然としたギョーカイと付き合う気はナイからね。むしろ、個人としての限界を明確に認識した上で、専門的な職能を要請するべきだと思う。そのためには盲目的な出版社依存ではなく、独立した個人としての出版経験が必要だったワケ。

とは言うものの、実際には学内プロジェクトの一環としてIAMAS電子書籍部隊を結成し、学生&教員の有志チームとして作業をしました。なので厳密には「個人」ではないけど、志を同じくする「素人集団」が未知の分野に挑んだってことです。ただし、素人なのは電子出版に対してであって、コンテンツやデザイン、オーサリングなどに関しては優秀ですよ(たぶん)。

ePubのオーサリング

さて、iBookstoreおよびiBooksアプリケーションがサポートするファイル・フォーマットはePubとPDFの2つ。PDFは非常にポピュラーなので現状ではメリットが多いものの、紙印刷を前提としている後ろ向きの規格なので未来はないと勝手に断言。よってePubをフォーマットとして選択。

ePub形式の電子書籍を作成するためのオーサリング・ソフトはいくつか存在するけど、その中で今回はフリーウェア(オープンソース,ドネーションウェア)であるSigilを利用。SigilのWYSIWYGエディタで大まかな構成を作りながら、コードエディタでXHTMLやCSSの細かな調整を行なう。実際にはiBooksの挙動を確認しながら、コードを調整することは欠かせない。表紙を含めて画像の整形も重要な行程だし、最終的にはEpubCheckでの検査でエラーがない状態にしておくことが必須。

sigil_m

iBookstoreへの申請

オーサリングが完了すれば、iBookstoreに出版申請する。この時に書籍の基本情報に加えて、以下の情報が必要になる。

  • Apple ID
  • U.S. Tax ID
  • ISBN
  • 銀行口座

いずれも難しくはないし、iPhoneアプリケーション開発者ならISBN以外は既に情報を持っているハズ。ちなみに、U.S. Tax IDはアメリカ国税庁(IRS)に申請しなきゃならないし(電話なら即時交付)、ISBNは取得に3週間程かかる(ISBNは個人取得の時代)。銀行口座はZenginコードも必要ね。

実際の申請は、iTunes Online ApplicationからBooksを選んで行なう。このサイトでは出版者の情報(Contracts, Tax & Banking)を登録した後、同サイトからダウンロードできるiTunes Producerなるアプリケーションで書籍の情報登録とアップロードを行なう。一連の過程はスクリーン・キャプチャしておいたけど、詳しく公開することは難がありそうなので、サムネールだけにしておくね。作業量はなんとなく分かるかな。私の場合は、あれやこれやで2時間弱かかりました。

ibookstore_submission_m

iBookstoreでの審査

iBookstoreへ出版申請した書籍の審査状況はiTunes Connectで確認可能。ただし、App Storeなら審査結果をメールで知らせてくれるけど、iBookstoreはそんなに親切ではないらしい。申請後10日程経過した時点でiTunes Connectを覗くと「Removed from Sale」と表示されていてビックリ。なぜRemovedなのかも分からない。

しばらく待っても進展はなさそうなので、Appleに問い合わせると「the text in the ePub file is all question marks.」との返事。そんな訳はないだろ〜と思いながら、iBooksでのスクリーン・キャプチャを付けて再確認してくれとお願いしつつ、同じePubデータを再サブミット。そして1週間程後にはメデタく「Ready for Sale」になってました。USなどのアカウントでiBookstoreを開くと、バッチリ書籍がありました。

審査に何日要したのかは、お知らせメールが来るわけではないので、正確には分からない。iBookstoreにも2週間ルールが適用されているのかもしれないし、そうではないのかもしれない。問合せにはすぐ返事が来たものの、最初にサブミットしたePubデータが文字化けしていたという原因も不明のまま。結果オーライとするしかないのかな〜。

iBookstoreの印象

そんなこんなで多少の紆余曲折があったものの、なんとか無事にiBookstoreで日本語ePub電子書籍をリリースすることができた次第。申請過程はApp Storeと似ている点もあるけど、勝手が違う点も多いですね。出版後に書籍自体をアップデートできるのか?とか書籍情報や価格を変更できるのか?とか、まだ分かっていないこともあります。このあたり、ご存じの方は是非教えてくださいませ!

全体としての結論は、個人でも簡単にiBookstoreで出版ができる、日本語書籍であっても問題はない、ってこと。ePub書籍の作成はWEBサイトの作成と同じようなものなので、これまた難しくはない。iBookstoreもiBooksも改良の余地アリだし、ノウハウも必要だけど、スタートした頃のApp StoreやiPhone OSを思い出せば、そんなものでしょうって感じ。これから急速に改善されることを期待していいんじゃないかな。良くも悪くもAppleはモンスターだってことを忘れちゃイケナイ。

ただ、日本のアカウントで有料書籍が購入できないのはツライよね。だけど、これも早晩解決するハズ(と思いたい)。かつてiTunes Music Storeが国内オープンするまでにUSに遅れること2年程かかったのは数年前の話。今のご時世に数ヵ月もかかるとすれば、出版ギョーカイを見限ったほうがいいと思うな。私ごときが見限っても誰も困らないけど、いずれ無視できない動きが始まるハズ(と思いたい)。国内での書籍の電子化はギョーカイではなく、個人(著者、編者、読者)から起こる。これ私の予言。

iBookstoreから「aのかたち」リリース

iBookstoreから電子書籍「aのかたち」がワールド・リリースされました。ワールドと言っても鎖国中の日本を除く(笑)ですけどね。ただ、USなどのiTunes Storeアカウントなら、日本でも購入できますよ。USでの価格は$2.99、日本なら300円くらいの想定です。iPadまたはiPhoneのiTunes StoreのアカウントをUSに切り替えて、iBookstoreで「akamatsu」を検索すると見つかると思います。

a_no_katachi_on_ibookstore_m

この書籍は、かつてMac Fan誌での同名の連載記事をまとめたもので、Apple社の製品を中心に人とコンピュータを巡る考察を綴っています。少し以前には小冊子形式のIAMAS叢書としても刊行されているので、雑誌連載、紙書籍、電子書籍、と典型的なマルチユース(使い回し)ですね。しかし、ワンソースであるが故に、メディアの特性が浮き彫りになると思います。

a_no_katachi_contents_m

ちなみに、iTunes StoreのUSアカウントを作る方法はこんな感じ。

・iTunesを開く。
・iTunes Storeからサインオフする。
・右下の国旗アイコンをクリックし、United Statesを選ぶ。
・無料のAppをダウンロードする。
・「新規アカウントの作成」を選ぶ。
・滞在するホテルなどUSでの住所でアカウントを作成する。
(USのクレジットカードを持っていない場合は指定しない)

itunes_store_account

これで取り敢えず無料のアイテムが購入できるアカウントができました。さらに有料のアイテムを購入するには、USのiTunesギフトカードを購入してアカウントにチャージするのが簡単かな。

と言う訳で、まだ数少ないであろう日本語のiBooks「aのかたち」のご支援をよろしくお願いします!

【追記】いつの間にやらiBookstoreから「aのかたち」が消えていました。アレレ?と思いきや、規約が改訂されていてサポートされない言語として「日本語」が明記されていました。と言う訳で当初は日本語の書籍をiBookstoreから出版できたのですが、その後不可になってしまったようです。一日も早い日本語サポートを願わざるを得ません。合掌。

ISBNは個人取得の時代

書籍に付いているISBNは、全世界共通のユニーク番号。これまでは出版社がISBNを取得して書籍などに付けるのが一般的だったけど、これからは個人の時代でしょってことで自分で取得してみました。少々時間と費用がかかるものの、手続きはかなり簡単。誰でも取得できるから、これからは一家にひとつ取っておきましょう(そんなわけないか)。

さて、ISBNの取得は国内では日本図書コード管理センターに申請します。日本図書コードなんてガラパーな雰囲気だけど、ISBNコンパチブルだから大丈夫なんだそうです。詳しくはWikipedia等を参照していただくとして、ISBNは13桁のコードで表されます。こんな感じ。

ISBNnnn – ● – AAAA – BBBB – C

このAAAA-BBBBのうち7桁までを取得するか、6桁までを取得するかで登録手数料と発行可能な書籍数が違ってくる。7桁の場合は、AAAA-BBBまでが割り当てられて、最後の1桁を自分で決めることができる。つまり10冊まで発行できるワケ。6桁ならAAAA-BBまでが割り当てられ、残り2桁を指定して100冊まで刊行できる。決めなければならないのはコレだけ。

7桁の出版者記号(10冊分)登録手数料:合計16,800円17,850円(税込み)

6桁の出版者記号(100冊分)登録手数料:合計28,350円30,450円(税込み)

後は出版社記号(ISBN)申込書のWEBフォームに必要事項を記入し、プリントアウトして押印。さらに、登録手数料を郵便振込で支払って、受領書のコピーを申請書に貼付ける。最後に申請書を日本図書コード管理センターに郵送すれば、手続き完了。1時間もあれば出来ちゃいます。

とは言え、そうは簡単に問屋が卸さないのが世の常で、ちょいとトラブルがありました。まず、申請書を郵送したのが5/30で、その後に本人に確認すべき事項があると電話をいただいたそうだけど、私はWWDCで渡航中。こちらから電話できたのが6/10で、この時点で10日間ほどロスしちゃってる。申請書にはメール・アドレスの欄もあるから、メールで連絡してくれればいいのにね。

それで本人確認が必要だったのは「販売・頒布方法」が未記入だったから。これは該当項目に◯印を付けるんだけど、WEBフォームじゃ指定できない。プリント・アウト時にペンで記入するのを忘れた私が悪いとは言え、WEBフォームなんだからチェックボックスを付けるべきだよね(プンプン)。

その後は何事もなく静かに時が流れ、6/21にブ厚めの封筒が郵送されてきました。中身は、お堅そうな団体の割にはファンシーなピンクのバインダーで、なんだか可愛いロゴまで付いてます。肝心のISBNは1行書いてあるだけですが、説明やら注意事項やらで数十枚の紙が付属するという豪華仕様。とうとうISBNを取得したぜ!って感動を盛り上げてくれる、わけありません。紙、無駄。

isbn_book

ちなみに、電話をした時にISBN発行までの必要日数を尋ねたところ、概ね3週間との返事でした。途中で問合せのロス・タイムがあったにもかかわらず、ほぼピッタリ3週間ですね。ただし、コードひとつ発行するのに3週間もかかるのは解せない。オンライン処理なら、せいぜい3秒だよね。他にどんな作業があったのか知りたいところ。

それから、書籍JANコード(バーコード)もあって、ISBNと同時に申請できますが、個人的には不要でしたので申請していません。バーコードは要らないですね〜仮に紙の書籍だとしても、あれで装丁がメチャクチャになっちゃうからね。くわばらくわばら…

iBookstoreで個人出版

iPadとともに大注目されているのが電子書籍なんだけど、再び日本のガラパゴス閉塞感が立ち込めかねない雰囲気。でも、シガラミのない(たぶん)個人としては、そんな特殊事情は無視するしかないでしょ!と思うんだよね。ってことで勝手にやっちゃいます。

まず、電子書籍のプラットフォームとしてはiBooks/iBookstoreを選択。現時点ではiPadオンリーながら、OS 4.0からはiPhoneにも提供されるらしい。対抗馬としてAmazonのKindleも考えられるけど、ボタンやキーボードがゴテゴテしているデバイスはキライなので即却下。

iBooksのファイル・フォーマットはePub。他にもGoogle BooksやBarnes & Nobleのnookなど対応しているプラットフォームは多い。MacやiPhoneでもStanzaなどのリーダーで閲覧できる。ePub書籍を作成するにはSigilなどのオーサリング・ツールやCalibreなどのコンバータを使う。ePubの中身はXHTML 1.1/CSS 2/SVG 1.1で記述するので、イザとなればテキスト編集できるし、もちろんゼロからの手書きePubもできるハズ。

そんなこんなでePub書類が出来れば、それをiTunesにドラッグ&ドロップするとiTunesのブック・ライブラリに登録される。後はiPadを同期すればiBooksの本棚に現れるので、見え方のチェックなどができる。ここまではちょっと手間さえかければ簡単に誰でもできそう。仕様と実装上の差異とか日本語での問題とかは知らない(笑)。

ibooks

さて、大きな問題はオンライン出版してiBookstoreの本棚に並べることね。Appleは個人出版の窓口として公認アグリゲータ(Apple Certified eBook Aggregator)を選んでいるので、そのサービスを利用すれば簡単に済みそう。ePub書類の変換を行ってくれるところもある。このあたりに日本語情報があります。

でも、アグリゲータを通さずに個人出版したい場合には、iTunes Online ApplicationからAppleに直接申請できるように思える。ポップアップ・メニューからBooksを選んで、Apple IDなどを入力して進めると以下のような登録フォームが現れる。

ibookstore_online_application_m

ここで必要となるのはUSのTax IDとISBNだね。Tax IDはApp Store開店時に多くの人が苦労したSSN / ITIN / EINだから、これはW-8BENでなんとかなるのかな? 残るISBNは個人でも図書コード取得でできるみたい。

というわけで、ものは試しにやってみようと思っていますが、何か変な障害・障壁が現れるかもしれませんね〜くわばらくわばら

【追記】すでに条件が整っている方は、ささっとiBookstoreに申請して結果を教えてくださいませ〜

コンピュータ音楽序説

海外から小包が届いたので例のアレかコレかと思いきや、Nick Collins氏の新著「Introduction to Computer Music」でした。この書籍は400ページ弱の分量ながら、網羅的かつ濃い内容になっています。この手の制作や研究をしている人はマスト・ハブでしょう。赤松のincubatorやSnowflakesなどもチョコと取り上げられてます(感謝!)ただし、DTMやDAWな人は目が点になるでしょう(念のため)。

introduction-to-computer-music

詳しい目次はココにありますので、ここでは章立てだけを掲載しておきますね。各章の構成を見て行くとお腹一杯な気分になりますが、思わず詳しく読みたいと思うハズ。図版や数式、そして各種資料もたっぷり収められていますので、眺めているだけでナイスなヒントが浮かんで来るかもね。

Chapter 1: Introduction
Chapter 2: Recording
Chapter 3: Analysis
Chapter 4: Processing
Chapter 5: Synthesis
Chapter 6: Interaction
Chapter 7: Networks
Chapter 8: Composition
Chapter 9: Modeling
Chapter 10: Conclusions

ちなみに、同氏はKlipp AVとして何度か来日して公演したことがありますし、IAMASでも講義や演奏をしてくれました。かつてはSuperCollider使いとしても有名で、BBCutなどグレートなライブラリを書いてましたね。最近はSuperCollider はダルいので、もっぱらObjective-Cでオーディオ処理を書いているとか。iPhoneアプリケーションも iGendyn(クセナキスの理論による音響合成)やTOPLAPapp(ライブ・コーディング的な音楽パズル)を作っていますね。いずれもApp Storeから無償ダウンロードできます。