StaticからDynamicへ

iPhone Software Roadmapの最終回(のハズ)は、いきなり脱線なんだけど、最初にゲーム機としてのiPhoneの可能性について書いておくね。プレゼンテーションでは、iPhoneが魅力的なゲーム・プラットフォームであること=目下敵なしのNintendo DS+Wiiの両方の特徴を同時に備えていることがが如実に示されていたよね。ゲーム機としてはUS$399は高いから、メモリ1GBで通話オプションの安価なiPhone liteを半額で出せばいいんじゃない? それ、私なら50台買います(笑)。

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iPhone Software Roadmapのムービー

さて、本題に入って、ちょっと思考実験してみる。それは、iTunes StoreよりApp Storeのほうが遥かに条件が良さそうってこともあって、音楽でも映像でもいいんだけど、何らかの表現物をアプリケーションとして流通させることね。ゲームやツールが典型的なアプリケーションだけど、それだけじゃない。

例えば、もっとも単純に、アプリの中にはAACファイルと再生ルーチン+αしか入っていないっていうヤクザな方法が考えられる。これをiTunes Storeのシングル1曲150円ではなく、App Storeで150円のアプリケーションとして販売する。さて、どっちが儲かるんでしょう? これを禁止する条項があるんだろうか? Limitationsに挙げられていたBandwidth hog(帯域喰らい)じゃないとして、Unforeseen(不測の事態)にされちゃ適わないけどね。

もうちょっとマシな方法としては、CD-ROM時代に流行った(?)ように、マルチ・トラック・ソースを入れておいて、ミキシング&エディットができたり、ループ&スクラッチできたりするようなアプリケーションも考えられる。インタラクティブ・ミュージックなんて嘯いたりしながらね。当然、アルゴリズミック・コンポジションやジェネレイティブ・ミュージックなどの試みも再挑戦してくるだろうし、楽器&エフェクター系のアプリケーションも山ほど出てくるハズ。

10年以上前からのパイオニア、Todd RungrenPeter Gabrielは、既に血眼で作業しているよ、きっと。いつも意外なところを突いて来るBrian Eno(& intermorphic?)はどうするんだろう? 最近の(でもないか?)OvalやAutechreあたりの連中はもう飽きちゃってるのかな? 有名・無名を問わず、この手の可能性を模索している人は一杯(?)いるワケだし、音楽だけでなく、写真、映像、言語、身体表現、その他いろんなジャンルが考えられる。志半ばながら、aka.iphone.appsでやっていることは、そーゆーこと(の一部)です。

これらが示すのは、要するにメディアはスタティック(静的)からダイナミック(動的)へと移行するってことね。いつも乱暴な言い方をしているように、デジタル・コンテンツには価値がないとして、アプリケーションには一類の望みを託したいところ。レンダリングされたデータは屍でも、アプリケーションはゾンビ並みには動けるからね。もちろん、アプリケーションもデジタル・コンテツの一形態であり、レンダリング(コンパイル)されたデータであることには違いないんだけど、ほら、違いは分かるでしょう?

iTunes Storeが革命的と言われても全然ピンと来ないのは、それは流通が変わっただけで、作り手と聴き手の状況としてはあまり変わっていないからだと思う。作り手は相変わらず、録音して編集して配布するだけだし、聴き手は選曲して購入して再生するだけだよね。便利になりました!嬉しい!ってくらいで、屍のビット列を右から左に転送しても、ちっともエキサイティングじゃない。

つまり、このサイトのサブ・タイトルが示しているように「音楽と映像をダイナミックに創造する! 」ことに未来がある。…と思うんだよね。ダメかな? そんなの要らない、面倒っぽいって思う人が、まだまだ多そうなのがツライとこなんだけどね(笑)。余談ながら、「最高の開発環境を徹底解説」している対象が、最近はMaxじゃないけど(でも、裏でがんばってます〜)、本質的には同じことです。

と、まぁ、だんだん説明するのが面倒になって来たので、半分も書かない腰砕け状態で終わらせます(笑)。回を追うごとに長文化していて、なんだかカッコ悪い(素直に反省)。そう言えば、最近の音楽配信を踏まえた論評って、まるで新しい観点がないって怒ってた知人がいたけど、それは違うと思うな。文章として書かれたものは既に終わっている、ってことでしょ。このサイトだって同じ。既にある情報を鵜呑みにするだけではダメダメね。

というわけで、iPhone Software Roadmapを巡る妄想妄言は、これにてオシマイ。2月と思っていたことが実際には6月に延びたけど、それ以外は大賞賛すべき発表でした。

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