iTunes StoreからApp Storeへ

iPhone Software Roadmapの第3弾はApp Store、これ今回の発表の中で一番重要かもしれない。なぜって、作る人は、それが完全に不可能でない限り、作ります。だけど、作ったものをどう伝えるかは別の話で、それをApp Storeがお膳立てしてくれるんだから、鬼に金棒(?)なワケです。aka.iphone.appsがComminity Sourceに登録された途端にアクセスが急増したけど、それと同じことが公式に、しかも数倍の規模で起こることになります。Reach every iPhone user directlyってヤツです。

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iPhone Software Roadmapのムービー

さて、このApp Storeに関して、今のところ分かっているのは、次の2つ。

・開発者はiPhone Developer Program (Standard) の年会費US$99(約1万円)を支払う。
・開発者へアプリケーションの収入(販売価格?)の70%が支払われる。

これって、素晴らしく良い条件じゃない? 音楽流通の革命と呼ばれたiTunes Storeよりも条件が良い&面倒な手続きも少ないように思えるね(ちょっと調べただけでは分からなかったので、より良い条件のサービスがあれば、ぜひ教えて下さいまし)。

しかも、数百万曲も登録されているiTunes Storeの中では、曲が埋もれてしまうのは確実だけど、初期のApp Storeなら登録アプリケーションの数は数百個程度だろうから、間違いなく目立つハズね。数百個ってのは、現在の勝手アプリ数の2〜3倍くらい(?)としての想定で、それでもiTunes Storeの1万倍の有利さになる。

さて、単なる皮算用だけど、次のように仮定してみます。

・1人で1ヵ月でアプリケーションを開発したとする。
・アプリケーションの販売価格を1,000円とする。
・iPhone+iPod touchの総ユーザ数を1,000万人とする。
・1年間を通して総ユーザの0.1%、つまり1万人が購入したとする。

この条件で開発者が得る収入は年収700万円ですね。後の11ヵ月は遊んでいるワケだから、これまた結構良い条件ですね。aka.iphone.appsでの経験から、なんとなくそれっぽい数字にしたんだけど、これは控えめな設定かもしれないし、誇大な仮定かもしれない。それぞれの媒介変数値をン倍とかン分の1とかして、ニヤニヤしてみてください。

それで、いつも痛感するのは、IAMASのようなアーティスト集団にいると、周囲には「作る」人は沢山いるけど、それを「広める」ことまでは手が回らない。ましてや、収入を「得る」となると至難のワザだってこと。作ることと、広めることと、得ることは、それぞれ別の次元だから一人ではなかなかできないだよね。

だから、App Storeが何をもらたすのかに注目すべきだと思う。インターネットの地殻変動に繋がるかもと書いたのは、このことね。従来の物理的な流通とは異なるのは当然としても、AmazonでもYahoo!でもGoogleでもないし、Webベースの決済システムでもないんだから。今ビルドしたアプリケーションが、1,000万人のポケットに(いろんな意味で)繋がっているワケです。

それで言えば、いつも酷評している日本のケータイが既にやっているじゃんってことになるけど、それとはどう違ってくるのかが注目のポイント。Macは最初のGUIマシンじゃないし、iPodは最初の携帯音楽プレーヤじゃないし、iPhoneも最初のスマートフォンじゃないってことを思い出そう。Appleのお得意は再発明で、これが現れた途端、それ以前が霧散しちゃうんだよね。Appleは失敗も多いけどね(笑)。

ちなみに、One more thingだったUS1億ドル(約103億円)で応援するぜ〜のiFundもスゴイと思うものの、これはまだ具体的なことが分かりません。意外とバブリーなザル状態かもしれないし、審査が厳しくって縛り要件がきついかもしれない。でも、とびっきりの企画があって当面の資金に困っているなら、海外からでも応募できるとなっていますよ。

そんなこんなで、iPhone Software Roadmapの3要素(+1)、つまり、企業(Enterprise)、道具(SDK)、流通(App Store)、支援(iFund)が揃ったことになります。アイディアとアクション以外に言い訳をする余地がなくなっちゃいましたね。後は、iPhoneのエコ・システムの未来に賭けるかどうかだけです。さぁ、オマエ、どーするんだ?って言われてますね。

というわけで、めでたく3話完結!じゃなくて、実はもうひとつあって(One more thing)、第4弾エントリーに続きます。

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