生体センサーで行こう!

一昨日のIAMASでは、DSP特論なる授業がありました。安直なネーミング(笑)とは裏腹に、毎回素晴らしい講師をお招きしてのレクチャー&ワークショップ・シリーズで、今回(と次回)は「生理心理学とメディア・アート」と題して、赤松も何かと(アレとかコレとか)お世話になっている照岡正樹さんにご登場いただきました。

何と言っても今回のメイン・ディッシュは、この講義のために新たに設計・制作していただいた生体センサーですね。小さなセンサー・ボード(緑色の基板)はショートピンを切り替えて、EOG(眼球運動)、皮膚電位、心電、脳波、筋電が測定できるようになっています。IAMASだからってことで、Gainer(赤色の基板)との接続のために、ハム・フィルター(極小の緑色の基板)まで用意される完璧ぶり。

teruoka-sensor.jpg

センサー・ボード自体は増幅器と考えて良いそうですけど、全体としては単純な電気装置ではなくって、照岡さんの長年のノウハウが随所に詰め込まれた「作品」ですね。医療用の最高級品からチョイスされた導電ゲル付き銀・塩化銀電極(Electrode 1025)、安っぽい紙で巻かれている電極〜ボード接続部、単三乾電池を6本も使用している電源部などなど、一見不可解だったりしますが、実は深い深いワケがあるとのこと。

もうひとつの重要なノウハウは「生体情報は音で聴け!」だそうです。生体情報の測定は常にノイズとの戦いで、結果的にノイズを分析しているだけの学術研究も見受けられるとか。波形やスペクトルを見るだけでは判断できないことが、音として聴けば一目(一聴)瞭然なので、必ず耳で聞く習慣を付けて欲しいとのことです。

今回のボードからはライン・レベルの信号が出力されているので、そのままアンプとスピーカーを繋ぐだけです。電極を腕に付けて手を動かすと、ゴゴゴゴッって感じの音が聞こえます。ホワイトノイズ的な雑音に混じってるんだけど、人間の耳と脳は優秀ですからね。レベルの低い脳波でも、聞き分け方を教えてもらったので、なんとか判別することができます。

音となると、MSPの登場ですね。コンピュータのオーディオ入力に繋いで、adc~をオン。
  信号来てますか?  → meter~
  波形はどんな感じ? → scope~
  大きく表示したい  → *~(あるいはscope~の設定)
  高域はカットしたい → biquad~(あるいはlores~など)
  周波数分布はどう? → spectroscope~
てな感じで、サクサクと処理が進みます。ライン入力を汎用のA/Dコンバータとして使っているわけですが、生体情報をオーディオ処理するのは、なかなか新鮮な体験です。もちろん、Max処理もJitter処理もOKだし、Gainerならマルチ・チャンネル処理も簡単。

といった感じで、敷居が高いと感じる生体センサーが一気に身近になるワークショップでした(これをどう発展させるかが次回への学生課題)。照岡さんの優しい語り口とは裏腹に、講義は刺激的な情報満載でクラクラするくらい。配布されたレジュメだけでも数ページに渡って説明&図版がビッシリ。その夜のちゃんこ鍋を囲んでの裏講義でも、示唆に富んだ話題の応酬で、お腹いっぱい、ごちそうさま、でした。

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