新作Timetracksをリリースしました。サブタイトルにもあるように、iPhoneの内蔵カメラを使ってスリット・スキャン方式で画像を生成するアプリケーションです。サポート・サイトでは作例を紹介していますので、面白い画像を作られた方は是非ご連絡ください。
さて、スリット・スキャン(Slit-scan)についてはWikipedia(英語)あたりに説明があります。元々はカメラの前にスリット(切り込み)が入った板を置き、その板を動かしながら何度も撮影をする特殊技法のことです。ひとコマずつ撮影するストップ・モーションも面倒ですが、その数百倍の手間がかかることが想像できます。
でも、デジタルなら結構簡単。Timetracksではカメラ映像の一部を短冊状に切り取って時間経過に従って並べて続けるだけです。言葉にすると分かりにくいかもしれませんが、Timetracksを起動して適当な方向に向けて放置しておくと、次第に動作原理が掴めると思います。被写体の動きやスキャン動作などの設定によって得られる結果が異なりますので、いろいろと試してください。
ところで、このTimetracksは数年前に制作した同名の展示作品が元になっています。画像処理は簡略化していますし、プリンタへの自動出力などはないのですが、それでもほぼ同等の鑑賞が掌のiPhoneでできるのは素晴らしい。さらに言えば、TimetracksもMirrorscopeと同様に初代iPhone時代のアプリケーションなんだけど、UIGetScreenImage() 解禁 にともない、ようやく日の目を見たという次第です。
Timetracksでは静止画が生成されますが、動画のスリット・スキャンもあって、有名なのは「2001年宇宙の旅」のワープ・シーンですね。私がリブチンスキー効果と呼んでいる手法にも発展できます。以下はZbigniew Rybczynski氏の”The Fourth Dimension“なる映像作品(のワン・カット)で、これが実際には立体的に「ねじれる」ように動きます。
このような効果も静止画ならTimetracksで作成できますね。しかし、動画となると現在のiPhone OSでは難しいのです(たぶん)。公開APIの範囲で(少々トリッキーでも)、カメラのライブ・ビューをオフスクリーン取得するできるといいんですけどね。何か方法をご存じの方は教えてくださいませ。