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Beginning iPhone Development

昨年11月半ば(ということは、2ヵ月半前)に刊行された書籍「Beginning iPhone Development: Exploring the iPhone SDKをコチラから無料でダウンロードできます。広告を見せられたり、しばらく待たされたりしますが、ちょいと我慢すればゲットできます。同じところから、Jailbreak環境でのアプリケーション開発本「iPhone Open Application Development」とWebアプリケーション開発本「Professional iPhone and iPod touch Programming」なども無料ダウンロードできますね。

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Dave Mark, Jeff LaMarche “Beginning iPhone Development: Exploring the iPhone SDK” 
Apress | 2008-11-14 | ISBN: 1430216263 | 536 pages | PDF | 17,2 MB 

ざっと見たところ、図版も多く、具体的な事例も取り上げられているので、これからiPhoneアプリケーション開発に取り組もうという人にはいいんじゃないでしょうか。個人的には、オーディオ関係が極小だったのが残念。

ところで、ドネーションや、ダウンロード・サービスからのペイバックがあるとしても、なぜこの本が無料ダウンロードなんでしょうね? 正規の書籍&PDF販売ではダメなほど、需要が少ないのかな。確かに、この手の中級レベルの総花的な開発本は少なからずあるから、セールス的には難しいのかもしれませんね。

【追記】この記事で取り上げたダウンロード・サイトは正規の運営ではありませんでした。不正確な情報であったことをお詫びして、訂正します。

iPhone SDKプログラミング大全

今日「iPhone SDKプログラミング大全」が届いていました。国内初の日本語解説書ですね。素晴らしい!

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先にマイナス・ポイントを書いておくと、300ページ少々の薄い書籍なので「大全」っぽくないのが残念。ここは是非とも大全っぽいボリュームでの増補版をお願いします!

それから、タイトルとともに、まるでダサダサの表紙もツライですね。きっと編集さんか営業さんの判断でしょうけど、情報としても物質としても書籍への尊厳がありません。普通のプログラマさんは、そんなこと気にせずに買うのかな。私よく分かりません。

でも、内容はいいですよ。ステップ・バイ・ステップ方式の解説書じゃないので、初心者向きではないものの、要領よくフレームワークが解説されているので、中級者以上の人にはバッチリですね。特に英文資料を読むのがイヤって方にオススメです。

Mac Fan 2009年2月号

正月ボケってわけじゃなくて、無茶苦茶忙しい毎日が続いてますけど、そんな訳で年末に刊行されていたMac Fan 2月号をご紹介。

毎号楽しみにしている「非開発者向け〜」は、今回は「iPhone対応WEBサイト構築入門」ですね。世間的には需要が多いとは思いますが、ネイティブ系も平行して続けて欲しいですね。

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私の連載は、今回はウィンドウ・システムについて。それはいいんだけど、特集記事が「UI進化論」でダグラス・エンゲルバードのNLSの話やら、久保田さん@多摩美の対談内容やら、思いっきりかぶってます。私の論考がそれなりにマトモってことかもしれなけど、常識気味の論考であって、ブッ飛び気味の思考ができていないってことですね。まだまだ精進が必要です。がんばります。

iPhoneの本質 Androidの真価

日経BP社から「iPhoneの本質 Androidの真価」なる書籍が刊行されるとのことで、一足先に献本をいただきました。9月25日〜26日に開催されたセミナー「オープンモバイル・コネクションズ2008」の講演内容をまとめたものです。

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このセミナーは、トップであった自分の講演後に所用のため退出しました。なので、こうして書籍で他の方の講演概要を知ることができるのは有り難いことです。2日間に渡って繰り広げられた膨大な講演が二百数十ページに詰め込まれているので、そのエッセンスというべきかもしれませんが、逆にいろいろと発想を膨らませることができそうです。ご一読をオススメします。

Mac Fan 2009年1月号

う〜ん、2009年かぁ〜って感じですが、Mac Fan 1月号が届きました。期待を裏切ることなく、今回も「非開発者向けiPhoneアプリ開発講座」がグッドです。今回はiPhone SDKの入手&インストールあたりから、Xcodeでの開発手順を経て、実機で動作させるまでが、豊富な図版とともに解説されています。証明書やプロジジョンのあたりって、分かりにくいですけど、これで初心者な方も大船に乗った気分になってください。この連載(?)きっと遠からず単行本化されるんでしょうね。

私の連載では、今回は筐体系のお話。ここで取り上げた映画「2010年」の浜辺のコンピュータって、かつては憧れの的だったけど、今じゃ数段小さなiPhoneがありますからね。でも、木星には行けそうもないし、HALもいない2010年の1年前です。

サンレコ誌でiPhone対談

サウンド&レコーディング・マガジンの12月号に、iPhoneを巡っての対談が収録されています。Cross Talk Vol.12「iPhoneが変える音楽の形」。レコーディング機材とかDAWテクニックとかを期待してページをめくっていて、いきなりiPhoneが登場してビックリした人も多いハズ。IT系雑誌なら当たり前でも、これは音楽雑誌ですからね。

対談のお相手をしていただいたのは、泣く子も黙るサウンド・エンジニア&アーティストのD.O.Iさん。随分以前にTrans Max Night – Tokyo Operationのライブでご一緒して以来のお久しぶりモードでした。当時もMaxを使い倒されていたので、新し物好き(ネオフィリア)なのは間違いないでしょうけど、初代iPhoneがUSで発売された直後からのユーザであるのはサスガです。

それで、このCross Talkは、普段は真空管コンプ徹底聴き比べみたいな企画です。なので、そんな感じかなと〜それなりに準備していったものの、iPhoneの音楽アプリ自体に触れることは僅かばかり。しょっぱなからハードコアな話題が渦巻き、それはそれは熱い議論が展開されたのです。個々人の体験としてのiPhoneの魅力から始まり、音楽表現(に限らないけど)の未来はiPhoneにしかない的な妄想に至るまで、その内容は誌面でご確認ください。

ともあれ、このような企画を断行するサンレコ誌は素晴らしい!です。それでこそサンレコって感じですね。思い起こせば、10年以上前からMaxを継続的に取り上げていたのがサンレコでした。その頃は、音楽とプログラミング言語とが結びつかない人がほとんどだったと思うから、巷の読者から一歩も二歩も先に進んでいたことになります。だから、今ならiPhoneを取り上げるのは当然だとしても、やはり勇気ある英断です。拍手!

Mac Fan 2008年12月号

Mac Fan誌の12月号が届きました。連載第2回目のメイン・テーマはキーボードで、Apple II、Mac、iPhoneと3つのキーボードを巡っての考察。iPhone関連のレクチャーでは時々引き合いに出すネタで、今回は時系列を追って丁寧に書いてみました。サブ・テーマは泣く子も笑う(?)セカイカメラのTC50顛末記。なんだか随分昔のことのように思えちゃいますけど、2ヵ月半程前のことなのですね。

同誌では、他にも岐阜おおがきビエンナーレのレポートを書いていたり、iPhone開発者としてのインタビューがあったりと、今回は登板回数が多いです。がんばって書いていますけど、闊達な文筆家ではないので結構大変です。お手柔らかにお願いしますよ〜(笑)>編集長さま

それから、今回の誌面で素晴らしかったのは「非開発者向けiPhone SDK講座」。開発を始めるにあたって必要となる事柄が、納税関係の手続きなどを含めて、要領良くまとめられています。この手のことは時々相談を受けるんだけど、一度済ませちゃえば忘れてしまうので、このような情報がきちんと整理されていることは有り難いです。

ちょっと不思議なのは、iPhone SDKそのもののには触れられていないこと。タイミング的にNDA緩和が具体化する以前だったから当然ですが、逆に言えば、次号から「iPhone SDK講座」が本格的にスタート、今回は開発準備に絞った承前的特集なんだろうな、と邪推します。楽しみ、楽しみ。

The iPhone Developer’s Cookbook

DNA緩和(?)後は大騒動が予想されますが、その先陣を切ってErica Sadun女史の「The iPhone Developer’s Cookbook: Building Applications with the iPhone SDK」のPDF版が発売されました。Sample Contentsにずらずらと目次が掲載されているので、内容はおおよそ見当がつくでしょう。US$31.99ですが、Member Savingsがあって、US$22.39でした。

それは素晴らしい!んだけど、もう新しいNDAって届いているの?

Mac Fanで連載開始

IAMASを取材していただいた頃から、編集長に何かとお世話になっていたのですが、とうとう(?)Mac Fan誌で連載をさせていただくことになりました。タイトルは「aのかたち」、サブタイトルは「Apple、またの名をアート」、英語表記は「Apple a.k.a. Art」となっております。第1回目が掲載された11月号は、ただ今発売中です。ご高覧いただければ幸いに存じます。

Snowflakesについての駄文

来年早々(?)に出版されるContemporary Music ReviewのテーマはGenerative Musicだそうで、Artist Statementを求められて、ちょこっと文章を書きました。 それが今週末に行なうSnowflakesネタなので、来年まで待ってられないってことで、原文(日本語)を載せておこうと思います。

Statementになっていないじゃないか?という意見もあろうかと思いますが、制作進行の真っ只中に忘れていた原稿締切日がやってきたので(苦笑、しかも英訳しなければならない)、そんなこんなで〜という言い訳です。さらには、実際にはどうなるんだい?という疑問をお持ちの方は、9/27(土)のコンサートにお越し下さい。iPhoneオーナーのご参加も引き続き募集中ですので、こちらもよろしくお願いします。

Snowflakes

コンピュータは死んだ。少なくともデスクトップ・スタイルやラップトップ・スタイルのコンピュータは死んだ。かつて大型コンピュータのバッチ処理によってバイナリー列を計算して音楽を作り出していた(ありがとう!Max Mathewsら先駆者の皆さま)のが今日では信じられないように、やがてデスクトップやラップトップで作曲したり、演奏する人がいたことを不思議に思うだろう。

私は1999年に「incubator」と名付けたプロジェクトを行なった。この作品では、50台の初期iMac(CRTディスプレイ!)を会場の床面にグリッド上に配置し、それぞれをEthernetを用いて接続してローカル・エイア・ネットワークを形成した。iMacの内蔵マイクロフォンを入力として用い、内蔵ディスプレイと内蔵ステレオ・スピーカーが出力として用いた。つまり、このシステムは、50個の音声入力、50個の映像出力、そして100個の音声出力を備えていることになる。もちろん、iMacはCPUを備えているので、それぞれが独立して処理を行ない、Ethernetを通じて相互に情報を遣り取りすることができる。

http://www.iamas.ac.jp/~aka/incubator/

「incubator」の主要な狙いのひとつは、ネットワーク型の音楽を、目に見えて耳で聞こえる形態として、現実の姿として提示することにあった。大半のコンピュータ音楽は、孤高の作曲家、バーチュオーゾばりの演奏者、あるいはオーケストラの指揮者などのように、音楽の中心に音楽家個人を想定した中央集権的な音楽である。そこで、「incubator」では、自律分散的な処理と観客との相互作用によって、新しい形態の音楽の可能性を探ろうとしていた。

「incubator」から、およそ10年を経過した今日、コンピュータは進化し、掌に載るようになった。それはコンピュータとは呼ばれず、iPhoneと呼ばれる携帯電話として存在している。そこで私は、iPhoneを用いて「incubator」に似たネットワーク・システム型の作品を制作している。最初の作品は「Snowflakes」と名付けられており、Fredrik Olofsson氏と安田到氏とともに、2008年9月に大垣(日本)で、2008年10月に上海(中国)で上演されることになっている。

http://akamatsu.org/snowflakes/

「incubator」と比較して「Snowflakes」は、単純にはiMacをiPhoneに置き換え、EthernetをWi-Fiに置き換えたと考えれば良い。しかし、大きな違いは、観客はiPhoneを持って自由に参加し、移動し、立ち去ることができる点だ。しかも、iPhoneは我々が用意するのではなく、観客のポケットに入っているiPhoneを使わせていただくことを想定している。つまり、「incubator」は固定されたクローズド・システムであったが、「Snowflakes」はフレキシブルなオープン・システムになっている。この世界で何が起こるだろうか?

コンピュータやネットワークの形態によって音楽が変わるのだろうか? iMacからiPhoneへの形態の変化は明瞭だが、その違いは音楽に反映されるというのが私の意見だ。PAシステムやレコーディング・システムが登場した時に、どのように音楽が変化したのかを思い出そう。iPhoneもまた途中段階に過ぎない。やがて、指輪やネックレスのようなウェアラブル・コンピュータが現れるだろうし、やがてはコンピュータはインプラントされ、身体に溶け込むだろう。そのような世界を想定して、私は作品を構想したいと思っている。もはや、古びたコンピュータを使ってはならない。

(文責:赤松正行)