STEIMが支援を要請中

オランダ、アムステルダムの電子音楽研究所STEIMが存亡の危機に瀕しているそうで、サポート・レター(STEIMの存続を訴える嘆願書)を求めています。STEIMと言えば、インタラクティブな音楽パフォーマンスの先駆者(研究機関)として有名だし、アーティスティックかつオルタナティブな姿勢も素晴らしいので、なんとか危機を乗り越えて欲しいところ。

詳しくは、STEIMの依頼文を読んでいただくとして、政府や市からの助成について否定的な答申があり、来期以降4年間の存続が危ぶまれているそうです。そこで、STEIMを正しく評価し、STEIMの存続を求めるサポート・レターを送って欲しいとのことです。WEBでのレター・フォームもありますし、同ページには英文での例文もありますから、STEIMを支援したいと思われる方は、レターを送られてはいかがでしょうか? 締め切りは5/26なので、すぐです。

個人的には3回程STEIMを訪問したことがあります。こじんまりとした施設ながら、充実した機材(ハイエンドではなくってマニアック、コンソールよりハンダごて、って感じ)と親切で熱心なスタッフの皆さんが印象的でした。ミッシェル・ヴァイスヴィッツ(STEIMのディレクター)やジョエル・ライアンらのユニークな人達とアイディア交換できたのも楽しかったな。そうそう、ネトシュカ嬢に会ったのもSTEIMだったけど、その後ロクに仕事もせずにトンズラしたらしい(ってウワサです、苦笑)。

ラウシェンバーグさん、さようなら

ロバート・ラウシェンバーグさんが亡くなられたそうです。享年82。《asahi.com

一般的には、現代美術家として飛び出る絵画(失礼!、Combineシリーズのことね)などで有名ですが、我々的には、メディア・パフォーマンスやらインタラクティブ・パフォーマンスやらのご先祖さまの一人として、記憶されるべき人ですね。以下の写真は、そんな代表作「Open Score」の一場面。ご冥福をお祈りします。

PlaceEngineとCore Location

iPhoneにはCore Locationが備わっているので、先のロケーション・アンプを見て、何故にPlaceEngineを?と思われた方もいらっしゃると思います。その理由のひとつは、PlaceEngineが勝手度(笑)が高いからなのですね。どちらもWi-Fi信号を元に現在位置を推定する点では似ているんだけど、推定の元となるデータベースへの登録が正反対のアプローチなのです。

まず、Core Locationは、開発元のSkyhook社が独自に情報収集するプロプライエタリ手法。情報の信頼性はSkyhookが保証しているとも言えるけど、Skyhookが調査していない地域では、何の情報も得られません。Submitができるものの、これは本質的ではないらしい。

一方、PlaceEngineは、開発元のクウジット社自身も情報収集しているけど、ユーザが独自に情報登録ができるオープン方式で、これが大きな違い。例えば、IAMASは小さな学校の割りには山ほどWi-Fiポイントがあるので、何時間かかけて位置情報を登録しまくれば、高精度位置情報Readyになっちゃいます。

つまり、Core Locationは伝統的・権威主義的な地図(=Britannica)で、PlaceEngineは現代的・集合知的な地図(=Wikipedia)なワケですね。技術的な優位性を含めて、どちらに軍配が上がるのかは興味津々ですが、勝手度、自由度としてはPlaceEngineのほうがステキでしょ? もっとも、ユーザとしては両方使えばいいじゃん、ですけどね。

ちなみに、Skyhookのサービス・エリアを見ると面白いですよ。日本では東京周辺と大阪周辺だけなのはマダマダですね〜って感じですが、彼らの行動が分かっちゃうところが素晴らしい。

コイツら成田と関空から日本に入出国したな〜とか、ツクバと松下(門真市)に行ったでしょ〜とか、関空からポーアイへ船で渡ったのかな?とか、ね。位置情報はプライバシー問題に直結しているけど、Skyhookの手法は(少なくとも初期は)、彼ら自身がプライバシーを露にしているワケです。すでにアルバイトくん達が調査を始めているようで(特に東京)、その痕跡が相対的に薄まりつつあるみたいです。

それから、PlaceEngineには撹乱情報も登録できるから、それにどう対処するのかはクウジットさんのお手並み拝見ですね。これまた集合知の問題と言うか特徴でもあるので、単純に位置情報が得られてウレシイという以上の興味が湧いてきます。

ロケーション・アンプ for 山手線

クウジットさんとのコラボレーションとして、iPhone/iPod touch用の新しいアプリケーションを作りました。同社の現在位置取得技術であるPlaceEngineのための委嘱作品ですね。今日からサン・フランシスコで開催される「Where 2.0」で展示します。私は現地に赴きませんが(涙)、お近くの方はぜひご覧になってください。

クウジット、赤松正行氏とのアーティストコラボを実現
「ロケーション・アンプ for 山手線」をWhere2.0でデモ展示
~「PlaceEngine」を利用して、iPhone/iPod touchが駅情報を自動表示~

クウジット株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:末吉隆彦、以下クウジット)は、音楽や映像を中心としたメディアアーティストとして知られる赤松正行氏と、「PlaceEngine」を利用して山手線電車内で現在地に連動した駅情報を表示するiPhone/iPod touch用アプリケーション『ロケーション・アンプ for 山手線』(英語名:Location Amplifier for Tokyo Train)を共同開発し、本日よりサンフランシスコで開催されるオライリー・メディア社主催、ロケーションテクノロジーのカンファレンス「Where2.0」にてデモ展示します。

詳しくは、プレスリリースデモ・ムービーをご覧くださいませ〜

iPhoneで日本語(NSString)表示

iPhoneで日本語の入力や表示ができるのは周知の通りですが、それではプログラム(Cocoa/Objective-C)から日本語テキストを表示するにはどうするの?ってのが昨日のマイ・クエストでした。

例えば、アラート・シートのタイトルを英語で設定するには、

[alertSheet setTitle:@"Shinjuku"];

でOKなんだけど、

[alertSheet setTitle:@"新宿"];

はダメ。文字化けちゃいます。

Mac OS Xなら、localizable.stringsファイルを作って、NSLocalizedString()を使うのが一般的(かな?)。iPhoneでも使えるかもしれないけど、もうちょっと簡単な方法はないかなとNSStringクラスを眺めていると、stringWithUTF8String:メソッドを発見。ハイ、正解!これで正しく日本語が表示できるし、別ファイルを作らずに、ソースコードに日本語を埋め込むことができます(保守性が悪くなるとも言う)。

[alertSheet setTitle:[NSString stringWithUTF8String:"\xe6\x96\xb0\xe5\xae\xbf"]];

この方法では、日本語テキストをUTF-8でエンコードしてC文字列として表す必要があります。そこで、UTF-8ならMax 5でしょ!ってことで、お手軽コンバータを作りました。

嗚呼、美しき哉、iPhoneとMaxの連携!(笑)

ただし、なぜか(なぜだ?)、バックスラッシュ(\)が正しく処理できなかったので(もちろん、\\でもダメ)、スラッシュ(/)で代用しています。実際には、テキスト・エディタでスラッシュをバックスラッシュに全置換して使ってください。

パッチはCopy Compressedで入れておきますね。

----------begin_max5_patcher----------
574.3oc0W1jiSCCE.dcxovJRrqzI14mlvE.jXC6XAZDxMwSqYRrihcDYlQy0
fiAha.mF3bPhcBkoxsSJXxLcii7ytwe5qumsyctNdq4sDgG3UfO.bbty0wQE
pOfyPeGuRbaVAVnllGi7Y95O4sPOjjzJUgK337RhP.DD43fzb0PcS+kvwXWw
YRFtjnF4MzZ7FJiCdK95Fvq4xszLv6p4f2GLN+JrLaKks4i0jLolyX+k9K.n
jn9GIopNgK8AWN7SXMkTVAQp3EtKHuQtezdZDzaUz.QcuIcX8Lk2TQzqnmG3
x9Qt20suYwDUUuOvaHlzAx59H.p7ALUKDzgDB5ITHGH2QxE2TtlWXRT91OwI
T8HN54ahyiWiUgqwRdsAikZQgsR6HnRXPTxYmwts.TPXFrThEsDTmJAiTZJD
dbKYt9CcpVZg8M0lZdSkAWsx5kfvjgLpvyRWIppoL4UfKZeQqAeEaeeoSsRB
N6J.oRhoMohruhP5SA8O6TjDzsIkAGEZcGkNXpfkQmtidxq55NuiZPSAVWS5
1v3imIEXkLoBpPZkKW9aM8yu7se70uaPT+GtxotMb9uvoZk5jGa+ucQwZe7G
ZNAuoNa7UM78Hfc7lSDRJCKob1eNGzClzVZdNQM9Hjkz7Jd2IACLbf+FmJRn
IfTvrRTvDHJbVIJbBDEMqDkLAh5t.E.NqNB9HDkLqNZ0TJ17mUjRe9gzdK2Q
1S5DxkhSUm0uZ3h1658OBazDXMdV0W7DKD+aIpqy8t+BGFJf0A
-----------end_max5_patcher-----------

【追記】コメントをいただきました。ソースコードのエンコーディングをUTF-8にして、以下の記述で日本語表示ができます。

[alertSheet setTitle:[NSString stringWithUTF8String:"新宿”]];

よって、Maxでコンバート云々は無用の長物でした。ご指摘ありがとうございます。

IAMASイキマス、DSPでBANG! 2008 @ AppleStore銀座

昨年(レポートムービー)に引き続き、今年はナント3回(予定)もAppleStore銀座にて、IAMAS/DSP主催のイベントをさせていただくことになりました。まずは、ざっくりとした概要を載せますので、スケジューラに追加していただけるとシアワセでございます。6月の第1回は、もちろんMax 5です!お見逃しなきよう、お願いします。

IAMASイキマス、DSPでBANG! 2008
連続レクチャー&プレゼンテーション@アップルストア銀座

大盛況&大好評であった昨年に引き続き、IAMASのDSPコースが3回の連続レクチャー&プレゼンテーションを展開します。いずれもMacを独創的に使いこなすテクニックと、個性的な表現や創造へのヒントが一杯。アートとテクノロジーが出会う場所で生まれる珠玉の作品を、ぜひご覧になってください。(入場料無料)

#1 Max5大作戦
2008年6月22日(日)16:00~18:00
音楽や映像を自由自在に創造する、完全に生まれ変わったMax5の全容に迫ります。
出演:赤松正行、plamo、ナカザトミツオ、永野哲久、YukaRitty、landscapers(Hoonida-Kim +谷口暁彦)
 
#2 Gainer大作戦
2008年7年19日(土)16:00~18:00(仮)
Macと現実世界とを繋ぐインターフェースを豊富な事例とともに徹底解説します。
出演:小林茂、他

#3 iDevice大作戦
2008年9月6日(土)16:00~18:00(仮)
画像解析やネットワークなどiSightやiPodの先進的で愉快な活用方法を紹介します。
出演:ジャン=マルク・ペルティエ、平林真実、他

写真は、昨年のイベントの様子です。一時はエレベータから人が降りることができないくらい満員御礼でした。今年もよろしくお願いします。

iPhone用のタップペン

人の指以外はダメなハズのiPhoneに、特殊素材(?)を使ってタップするスタイラスが何種類か発売されています。私は、国内製品でDIATEC/FLICOのタップペン、FITPB2を試しに買ってみました。

このタップペンの長さは、iPhoneの縦幅よりも僅かに短い程度のコンパクトさで、頼りなくはない程度の軽さがグッド。でも、Palmなどのように、チョンと押すだけで操作はできないですね。先頭部の柔らなゴムっぽい部分を少し押し込む感じで、ちょいと力が要ります。慣れれば、iPhoneが反応する僅かな力加減が体得できそうです。

ともあれ、モーターやソレノイドに取り付けて、iPhoneを自動操作しようと思っていた密かな目論みはハズレてしまいました。まともに使おうと思っていた訳じゃないし、明らかにメーカーの想定外ですけどね。2本あればピンチができるのか?とか、他の製品はどうなのだ?とかも気になります。

CyberduckでiPhoneのファイル操作

iPhoneにファイルをアップロードやダウンロードする時に、USB接続だけで済むiFuntasticを使っていたんだけど、バージョン5以降のiFuntasticは有償版でないとイマイチ使い勝手が悪い。そこで、最近はSSHでのファイル転送をおススメしています。私のお気に入りはアイコンも可愛いCyberduckクンで、こんな感じで使います。

iPhoneでの設定

  • iPhoneにInstaller.appでBSD SubsystemとOpenSSHをインストールする。
  • iPhoneをWi-Fiでインターネットに接続し、IPアドレスを控えておく。

Cyberduckでの操作

  • 新しいブックマークを作成し、プロトコルを「SFTP(SSHによる暗号化FTP)」に、サーバにiPhoneのIPアドレスを、ポートは22を、ユーザ名に「root」を設定する。
  • 作成したブックマークをダブルクリックし、iPhoneに接続する。
  •  不明なホスト鍵への接続を尋ねられると、「常に」を選ぶ。
  • パスワードを尋ねられると、「alpine」と入力する(Firmware 1.1.xの場合)。

以上の手順で、CyberduckのウィンドウにiPhoneのディスク内容がリスト表示されます。後はFinderとの間でドラッグ&ドロップして、ファイルのアップロード&ダウンロードができます。フォルダの移動は、階層化リストとポップアップ・メニューで簡単カンタン。

勝手アプリをインストールする場合は、iPhoneの/ApplicationsにアップロードすればOK。ただし、スプリングボードをリスタートしなければ、ホーム・スクリーンに表示されないので、Respring.app(これはInstaller.appからインストール可能)などを使ってください。

なお、Cyberduckでは、ファイル名の変更やアクセス権の設定もできるし、アプリケーションなどのパッケージを開いて、その中身も変更できますよん。

2061:Max5オデッセイ

右のサイドバーにMax5変更点を追加しました。書籍「2061:Maxオデッセイ」の内容に関して、Max 5で変更になった箇所をまとめています。そして、ダウンロードに2061:サンプル・ブラウザのMax 5対応版を登録しました。いずれも完璧ではないと思います(そうそう、完璧なんて有り得ない)ので、今後も随時アップデートしてきます。何かお気づきの点がありましたら、どうぞお知らせください。

 かつてのサンプル・ブラウザは、本来日本語をサポートしていないMax 4.6で日本語処理をしていたので、これをそのままMax 5で開くと、以下のように文字化けてしまいます。サンプル・パッチも大半が問題なく動作するんだけど、微妙な見かけの不具合を修正しながら、数百個のパッチをMax 5形式で保存し直していました(涙)。

残るは、2061:オブジェクト・ブラウザですが、これをMax 5用にパッチを変更するのが良いのか、Max 5の新しい機能(例えば、ファイル・ブラウザ)に統合するのが良いのか、決めかねています。もともとオマケだったし、このままフェード・アウトでも良いかもね。

早くもMax 5.0.1

5.0のリリースから数日も経っていませんが、本日、Max 5.0.1がリリースされました。Max 5.0.1 bug fixes and new featuresを読むと、かなり沢山のバグ・フィックスが行なわれていることが分かります。

これは5.0.0が完全でなかったと言うより、素早い対応が行なわれていると前向きに(笑)考えるべきですね。完全なんて有り得ない、ですから。ともあれ、当面はバグフィックスが続くでしょうから、新バージョンがリリースされ次第、即ダウンロード&インストールってのが良いと思うな。

さて、新機能のひとつに、EditメニューのCopy Compressedがあります。これは、メールの本文などにパッチをテキストで入れる時に、膨大な行数にならないように考えられた機能だそうです。

例えば、あるパッチ(commentがひとつだけ)を選択してCopyした内容は、テキストエディタにペーストすると、以下のようなテキストになります。

{
 "boxes" : [ {
  "box" : {
  "maxclass" : "comment",
  "text" : "2061:Maxオデッセイでっせ",
  "patching_rect" : [ 78.0, 97.0, 177.0, 24.0 ],
  "numoutlets" : 0,
  "id" : "obj-1",
  "fontsize" : 12.0,
  "numinlets" : 1,
  "fontname" : "Hiragino Kaku Gothic Pro W3"
  }
  }
 ]
}

同じパッチをCopy Compressedしてペーストすると、以下のようになります。

----------begin_max5_patcher----------
226.3ocSN0jRCDCEdcxo3QVWGRlJNZu.JHBtqKJEIMM1FsIQl4MvPKcwLyBO
DtTAAuB83jKhjzYP27d7998cfRXq7M5JFLCV.DxAJgjfh.jgaByJaT6jUIYL
k2Z0NjM4LGpavDdN+JwrGjMgteB8uG56CcmBceEZ+Nz9Yn8iQCuIQ0ViaySk
ZEdt3hqy3SfaJhSQQZkeYFGVNXwUa803NMl9.9.pYcpW+pWtPLF9ydGVY1qi
Lh7L9eAXbi9E+SqSZSZY2YJkaLNObu70Z3VOt0nfGK8v7orn7iTZb.KoGo+B
lqHUO.
-----------end_max5_patcher-----------

あまりCompressed(圧縮)ではないような気もしますが、パッチが複雑になれば、その効果が大きくなるようです。